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エタニティ 永遠の花たちへのikumuraのレビュー・感想・評価

3.6
【太陽と共にいってしまった海】
フランスの、19世紀末から始まる、三世代の生と死をクラシックの調べと共に絵画的に描いた映画。
監督は『ノルウェイの森』などでも知られる人だけど、僕は初見。
流れてたわけではないのだけど、ゴルドベルク協奏曲が聴きたくなって、観終わって流してる。
あと、クラシックの中で、フランス音楽はピンとこない領域だったのだけど、
ドビュッシーにも興味が出た。

オドレイトトゥの、「いつまでも少女から老け役まで演じられそう」感もすごいけど、
慣れ親しんだ印象派の絵画の奥にはこんな生活や喜び、悲しみがあったろうな・・・
と思わせる独特なタッチの映像に何より惹き込まれる。
人物より風光の色合いがより鮮やかなのは、記憶による美化、
あるいは変わらない自然や人より長く残る建物を表現しているのだろうか。
視点も、正面だったり、横だったり、あるいは廊下からの覗き見のような感じだったり、
一様ではないのが面白い。

ストーリー的には、朝ドラや大河ドラマの、主要イベントを点と線で、フラッシュバックも交えながら見せていく・・・という感じで、
淡々としているんだけど、だからこそいろんな人が数世代前の自分たちの先達に思いを馳せることができる。
出てくるのも美男美女しかいないんだけど、みんなそうだからそれぞれがただの「この時代に行きた誰か」にしか見えないというか、
美男美女であることがある意味没個性的に感じられる、という映画体験は初めてだった(笑)
その中で、オドレイトトゥはさすが(っていうか、その義娘役はメラニーロランかっ!!)
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