ほり本こう大

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのほり本こう大のレビュー・感想・評価

3.9
心臓ドドドアップのファーストカットから始まる本作。
突然すぎて、鑑賞中に食べようと思っていたお菓子に伸ばした手が止まるほど。

本作で特徴的なのはカメラワーク。
元来、映画においてあまり多用されることのないズームイン・ズームアウトを多用することで、独特の表現になっている。
さらに、BGMは仰々しく不気味なもののみで、まさに不協和音が鳴り響く。

また、不気味なサスペンス要素だけでなく、前半は特にコメディ要素も多々ある。笑ってはいけないと思われるシーン等でも、緊張の緩和からか、しょうもないことでも笑ってしまうくらいだった。恐らく、敢えてコメディ要素を入れ込んでいるのだろう。

カメラワークやBGM等により、常に不気味さが漂う本作。かなり強烈な世界観に仕上がっている。
本作にもセリフとして登場する、ギリシャ神話のイピゲネイアの逸話を知っていれば理解もある程度深まるだろう。