あにょま

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のあにょまのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

一言で感想をまとめるならばコロナ禍ならではのおうちシアターだからこそ成せた技が多い作品でした、じゃぁ詳しく感想書いてくよ。

 タイトルを最初見た感じはメタル系のミュージシャンの反省を描いたものかと思ったけれども少し違った。主人公の聴力が一気に悪くなり音楽を辞め治療するまでとその後を描いているのだけれども(ざっくりしすぎた説明)、まず音の表現がしごく細かくて繊細なのよこの映画はレビューでヘッドフォン推奨と言われている通りヘッドフォンをして耳からも作品を感じてほしい。今までにないかな例えていうならASMR音声で映画を聴いている感じ、聴覚が正常なとき、聾者になったとき、人工内耳をつけた時の音の区別が素晴らしかった。自分自身までもがこの作品の主人公と同じ体験を映像の中で体験している気持ちにもなり得た。

 社会問題とかはあまり扱われていなくて依存症と自傷癖くらいだったが主人公の恋人の設定がモリモリだったがあまり詳しく触れてくれていなかったのでもう少し説明を入れて欲しい気もした。一番問題として取り上げているなと思ったのは人工内耳の問題、私自身学校に”聞こえの教室”と言って聾者の児童向けの教室があったからよく聴いたんだけれども人工内耳の不完全さをリアルに描いていると思った。人工のものが自然に敵わないというのをよく描いている。

 明るい場面ももちろんあった。主人公が聾者の児童と触れ合っていく中で”こころ”とか”信じること”を得ているシーン。その児童のクラスの中で浮いているみたいな感じの男の子と”おと”で触れ合っている場面がとても印象に残っている。”聲の形”を見たことがある人は解るかもしないが振動によって”おと”について触れ合っているシーンは私の中では一番感動したシーンかもしない。

 この作品は決してハッピーエンドではない。手術が受けれるとわかってからはとてもハッピーな感じで物語は進むが、施設に戻り手術を受けたことを報告してから一気に急降下をしていく。まぁ途中で恋人との再会もあるので悪くないかもしれない。最後はなんだか自分で考える感じなので人生のあり方みたいについて見つめられるかもしれないね。