anzu

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のanzuのレビュー・感想・評価

4.0
"音"だけで、ここまで不安と孤独に駆られたことはなかった。待てずに観てしまったけど、絶対映画館で観るのが正解です笑

ドラマーが突然難聴となってしまう…あらすじとしては至ってシンプルだが、特徴的な音響の使い方によって主人公ルーベンの世界を体験しているような感覚は斬新だった。

ドラムを激しく叩き鳴らす時の高揚感、心地よい音楽を聴きながら恋人と踊る日常が全て一瞬で消えてしまったような。
周囲が何を話しているか分からず、焦燥感を抱き、今の自分を受け入れる時間もないまま順応していかなければならない。

恋人との関係も美化しすぎずリアルで良かったな。個人的に子供と滑り台で心を通わすシーンが優しくて、少し救われた気持ちになった。

こもった声、機械の雑音や騒音、そして静寂…全てを体感し、"耳"で主人公の感情を読み取る繊細な作品でした。
冒頭とラストの尺の長さが今も尚、"音"の余韻を残している…
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