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バンコクナイツのmareのレビュー・感想・評価

バンコクナイツ(2016年製作の映画)
3.5
異国を舞台にしているから映像の強度が飛躍していて、自然描写が日本映画離れした美しさがある。そんな風景と対比するように男は泥臭く底辺でもがき、女は華々しさの中に故郷への苦い想いを巡らせていたり、この映画の人物をドキュメントに、行き詰まったリアルを浮き彫りにして見せている。感情だけでどうにかなる問題ではなく、彼らの生活に直結する状況がヒリヒリとした空気感を醸し出す。そんな重たい話ではあるがノンカーイやラオスの突き抜けたロケーションに浸れる爽快なロードムービーでもあり、行く先々での風土が生命力を漲らせるパワーに溢れている。一見対極なこれらのバランス感はまず他では観られない予想外の掛け合わせで、まさに映像においても未開の地に踏み入れた唯一無二の感覚がある。
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