りょう

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だのりょうのレビュー・感想・評価

3.6
池松壮亮×石橋静河の実力派が主人公の映画。二人とも好きな俳優さんですが、この作品は少し自分に合わなかったのかも。

「何か嫌な予感がする」

慎二は片目が見えず、学生時代は優秀だったようだが、今は工事現場で日雇いに近い仕事をして毎日を凌ぐ生活。周りにはフィリピンから出稼ぎに来る外国人、腰が痛くてもうこの仕事の限界に近い状態のおじさん、そして汗まみれの仕事をしながらも飄々とスマートな雰囲気の男など。日々生活費に消えていくお金、地震、戦争などなど、嫌な予感と不安に囲まれながら生きている。

「都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ」

美香は母が自殺したのではと思っており、自分はいつも捨てられる存在だと思っている。だから自分を捨てた元彼も今更寄りを戻そうとしてきても、いつかは捨てられる、慎二から好意を寄せられてもどうせいつかは捨てられると厭世的なモノの見方しか出来ない。

個人的にはそんな二人がどうして恋に落ちていくのかあまり理解できなくて…あんなに盛り上がらない気まずいデートだったのに。そういう厭世的な考え方に、この人を守ってあげたいって思ったのかな。すいません、読解力なくて分かりませんでした。

それと慎二のことが実は好きだったという玲という人物(自分の中では「架空OL日記」の紗英ちゃんでしかないのだが)や、美香の元彼が登場するが、別になくても良いエピソードだったんじゃないかなと思ったりしました。

東京というキラキラして魅力的な、だけど一人になると冷たくて寂しい都市。一度転落すれば生活も苦しいし、孤独死もある。そんな「何か嫌な予感」の中にも何気ない本の貸し借り、お気に入りのコンビニの店員さん、そういった何か小さないいこともあったり、恋人と結ばれるようなとてつもなくいいこともある。渋谷とか新宿のそういう雰囲気をこの映画から受信しました。
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