みーちゃん

アシュラのみーちゃんのレビュー・感想・評価

アシュラ(2016年製作の映画)
4.3
凄いものを観た。
フツーの映画の3本、いや、5本分に匹敵するくらいの見応えと体力消耗。序盤15分でテンションMax?と思いきや、一度も下がることなく上がり続ける。

何しろ、チョン・ウソン演じるドギョン登場の瞬間、彼が首の皮一枚のところで何とか正気を保っている状態だと伝わる。観る側も覚悟が必要だと分かる。
そして、徹底して貫かれているのが、上が下を利用し、下はその下を痛めつけ、その下は底辺をボコボコにする。更にエンドレスで底辺を作り続けるという構図。 

市長の怪演はじめ、あまりの怒涛の展開に、ぶっ飛んでいるように見えるけど、私は、違う世界の話とは思わない。きっかけはどうあれ、自分の中の一線を超えてしまった人間の、底なし沼と地獄を体現していた。後戻りも、抜け出すこともできず、もはや自分では終わらせることすらできない…。何を指すかは別として、誰にでも起こり得ることだ。

全ての登場人物に対し、あのレールに乗ってしまったのなら、もう辿り着く所まで、行ける所まで行くしかないと感じさせる。だからこそ、ある意味ハッピーエンドと言える結末で良かった。全てが終わった時、明らかにあの二人だけ美しく見えたから。