35mmフィルムで撮影された、野外は特に白飛びがちのこういう作品は、ミニシアターで見たくなる。赤いベルベットが薄くはげた、クッションも良くない椅子に腰掛けて。
映画の途中でもコーヒーが飲みたくなったら淹れられて、チョコが食べたくなったら取りに行けて、犬を撫でたくなったら撫でられる、この状況で映画を見ることに慣れるしかなかったこの時代が悲しい。
映画館でだけは、知らない国の違う時代の雰囲気に我を忘れて酔いしれることができたのに。それが許されない(したいと思えない)現実を悲観することが止められない。でもやっぱり感染するわけにはいかないのでまだステイホームしている。
80年代の北イタリア、FIAT128のネイビーがツヤツヤでまぶしかった。
バカンスの夏、同性の初恋。2人とも容姿が良くて、異性からのアプローチが途絶えたことがない人生を送ってきたであろうタイプ。途絶えたことがないから、今までセクシャリティに疑問を持ったり、迷う必要がなかったけれどこの夏は、、、というところ。
拭いても拭いても止めどなく流れる涙。超オーバーサイズのシャツがどっと疲れたクタクタの気持ちを表していた。
人生で一度きりかもしれないと思える恋がもし実らなかったとしても、彼には一度きりの人生を応援してくれる心強い大人たちがいる。それが羨ましかった。
(今作、見逃しに見逃し続けて4年経ってた。。)