エイデン

ザ・リング/リバースのエイデンのレビュー・感想・評価

ザ・リング/リバース(2016年製作の映画)
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間もなくシアトル空港に着陸しようとしていた旅客機内部
激しい揺れに見舞われる中、1人の青年が隣の女性に“呪いのビデオ”を観たと語っていた
その青年は良い雰囲気になった女性から渡されたコピーのビデオを観たところ、すぐに女性の声で「7日後に死ぬ」と電話を受けてから、身の回りでおかしなことが続いており、後5分で7日経つのだと言う
青年が席を立ってトイレへ行くと、今度は他の女性が「自分もビデオを観た」、「コピーはしたか」と詰め寄る
その瞬間 飛行機内のモニターが一斉にどこかの井戸を映し出し、トイレの扉の隙間から血のような液体が溢れ出る
それをきっかけに機体は大きく傾くと、機首に向けて滑り落ちていった青年は、コックピットのモニターから何かが這い出てくる様を目撃
直後 飛行機は墜落してしまうのだった
2年後
旅先の骨董市を訪れていた大学院生スカイと生物学教授のガブリエルは、まだ使えそうなビデオデッキに目を止める
それは2年前に飛行機事故で死んだ青年の遺品だったが、ガブリエルは構わず購入すると、自宅で修理を始めるのだった
するとデッキの中から、「観て」とだけ記されたビデオテープを発見する
だが結局デッキは直らず、タバコを燻らせ始めたガブリエルの前で、何故か突然デッキが動き出しビデオテープが再生される
ガブリエルが意味のわからない不気味な映像を観終わると突然電話が鳴り、女性の声で「7日」とだけ言って切られてしまう
不審に思ったガブリエルの目の前で、今度は火の消えたタバコの中からハエが這い出てくる
飛び立ったハエは窓に止まり、ガブリエルは叩いて殺そうとするが、何故かハエは窓を擦り抜けるようにして向こう側に移動していた
混乱するガブリエルは、窓に付着した雨粒が下から上へと流れていることに気付き絶句するのだった
一方 大学生のジュリアは同じ大学生の恋人ホルトの荷造りを手伝っていた
ホルトはスポケーンの別の大学へ移ることになっており、病気の母の看病でこの地に留まらなくてはならないジュリアとは遠距離恋愛になってしまうことが決まっていた
寂しがるジュリアにホルトは、毎日スカイプで話をすると励ますが、ある夜 話の途中でガブリエル教授が呼んでいると友人達がホルトの部屋に現れる
ホルトはジュリアとの話を切り上げて去ってしまい、腹を立てたジュリアは連絡を断つが、彼から週末に行っていいかと心配した様子のメールが届く
しばらくしてジュリアは、豹変したホルトに襲われるという不気味な悪夢を見て夜中に目覚めてしまう
するとパソコンにホルトからのスカイプ通話の呼び出しがあり、出てみるとそこには何故かスカイという面識の無い女性の姿が
ジュリアはスカイがホルトのパソコンから連絡してきたことに動揺するが、彼女は意に介した様子もなく、取り乱した様子でホルトの行方を尋ねてくる
スカイの顔は不気味に歪んでおり、「彼女が来る」「逃げられない」と喚き散らして通話は途切れてしまう
すぐにジュリアはホルトに連絡を試みるが繋がらず、不安に駆られた彼女は直接スポケーンの大学へ向かうことに
夜通しかけてホルトが住む寮にやって来たジュリアだったが、彼の姿はどこにもなくスマホだけが残されていた
何かがおかしいと感じたジュリアは、彼が受けていた講義の教授ガブリエルを訪ねるが・・・



『リング』のハリウッド実写版『ザ・リング』シリーズの3作目

冒頭から飛行機を墜落させるというド派手な登場をするハリウッド貞子ことサマラちゃん
さぞスケールアップした呪いで大暴れするのかと思いきや、さすがにサマラちゃんも「ヤベっ」と思ったのか内容は割と地味に進んでいく
堅実にサマラの呪いに巻き込まれる人々と、呪いを科学的に解明しようとする集団まで現れる
察しの良いファンならお気づきのように『リング』と『らせん』の物語を踏襲したストーリーとなっている
加えて完全に時代遅れとなったビデオも、映像に転身を遂げていることからもわかるように、全体をアップグレードした作品である

不気味さと怖さはハリウッド版シリーズと遜色なく、オリジナル版とは違うけどこれはこれとして楽しめる
ぶっちゃけ評価としては低いんだけど、そのキモになってるのがストーリーの元ネタの1つである『らせん』なのかなと感じた
現実世界における呪いとは何かを科学的な視点からアプローチするという物語自体は『らせん』の面白いところなんだけど、そもそもホラー映画として作られていないような物語重視の作品なので、それを組み込んだ結果 物足りなさとして表れてるようにも思う
それも中途半端に投げてるのにオチは似せて来てるので、シリーズファン以外からは突拍子の無さすら感じてしまうのではないかと

本作独自の展開としては『リング0 バースデイ』のようなサマラの誕生にも関わるようなもので、更に後半には主人公達による人間同士のバトル展開まで用意されてて、本格的にてんこ盛り
もはや何に怖がるべきか見失いそうになる

全体のアップグレードとは言ったものの、オリジン作の大胆なアレンジというのが実なので、それを受け入れられるかが評価の決め手かな
サマラに関してはやっぱり出番は控えめではあるものの、飛行機墜としや倒れたテレビからスーパーヒーロー着地みたいに飛び出してくるシーンとかインパクトは十分
ある意味 原作のエッセンスだけは上手く拾い上げた作品になってるので、ぜひ観てみてほしい
エイデン

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