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オアシス:スーパーソニックのfonske0114のレビュー・感想・評価

3.5
90年代とUKギターロックを代表するバンドの一つで、「現代のビートルズ」と称されたオアシスのドキュメンタリー作品。デビュー~96年ネブワース公演の絶頂期までのバンド公式映画で、新旧インタビューや写真、文字を工夫した見せ方もありとても見易い。

以下ネタバレ感想を。

まず、私自身はオアシスの大ファンである。語ると長くなるため割愛させていただくが、小学生時分からずっと「自分の中にいる」バンドである。

オアシスは楽曲だけでなくメンバーのギャラガー兄弟も魅力の一つで、特に2009年の解散時の理由にもなった「兄弟喧嘩」は見所で、今作もやはり兄弟喧嘩を初めとしたギャラガー兄弟が中心。

映画を見て個人的に知っている部分や断片的な情報が多く、かなり整理することができた。

彼らの幼少期からバンド結成までは貴重な写真も多く、クリエイションのアランマッギーと契約するグラスゴーのキングタッツ公演も他バンドに付いていった、というのは知らなかった。

あのシーンでは、映画中にはなかったが、「メジャーになる前、数人の客の前で'俺はロックンロールスター'と歌ったとき、'ああそうかよ'という顔で見られた」というノエルのエピソードを思い出した。

ビートルズがデビュー前にハンブルクでライブを繰り返し腕を磨いたように、オアシスもライブハウスとスタジオで約2年下積みがあった、というのは映像で見ると重みがあった。

デビュー後はオランダ入国拒否、アメリカツアーでのアルコールなどでの失敗など、かのエピソードが続く。

アメリカツアーでは逸話が特に多く、ノエル脱退エピソード(Talk Tonightの完成)、ギグジー脱退エピソード(レターマンでの4人での演奏)、他にもリアムがステージからいなくなりノエルが歌いきるライブ(ブートレグで聞ける)などもあり、アメリカとオアシスはとにかく相性が悪いイメージがある。

ホワイトアルバム時にリンゴが一時ビートルズから脱退したように、ギグジーも一時いなくたった所を映していたのは良く、その分そこからのアールズコート→メインロード→ネブワース公演は盛り上がった。

どちらかというとネブワースの頃にはメインロードでピークを感じ下り坂気味な気持ちだった、というのを初めて知ったが、彼らのライブ映像作品『THERE AND THEN...』でのアールズコート、メインロード公演とネブワース公演を比較するとそう見えてくる不思議さがある。

終盤の暗さは、ブリットポップを皮肉交じりにも描くドキュメント映画『LIVE FOREVER』でのデーモン・アルバーンやジャービス・コッカーとも同じで、「人気の絶頂とパーティの終焉、その裏側」を思わせるものだった。先のアメリカツアー、トニー解雇と裁判、ギグジー脱退、そして父親との確執など闇の部分がとても濃い。AMYでもそうだったが同じ監督なのでそうなったのだろうか。

楽曲LIVE FOREVERがバンドの転機となるのは知っていたが、その重みを改めて感じられた。

オアシスは「ドラッグはティー感覚」発言だけでなく、「blurへのエイズ発言」に代表される他バンドへの誹謗中傷も多いが、やはり映画には入れられなかっただろうか。

加えて、本作では解散への経緯もあってか兄弟喧嘩系が多かったが、私としてはライブ映像でも95年のグラストンベリーやアンプラグド、初めてアンコールをした日本の名古屋公演などのノエルの弾き語り系エピソードを始め物足りなく、やはり「あれもこれもない」と思ってしまったのは否めず、逆に言えば非常にコンパクトにまとまった作品だと思った。
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