空海花

満月の夜の空海花のレビュー・感想・評価

満月の夜(1984年製作の映画)
3.7
エリック・ロメール「喜劇と格言劇」第4弾。
パリ近郊で同棲生活を送る若い娘の恋のゆくえを描く。
製作はマルガレット・メネゴス
監督・脚本エリック・ロメール、
撮影はレナート・ベルタ、ジャン・ポール・トライユ、ジル・アルノー
音楽はエリ&ジャクノ
美術装飾は主演のパスカル・オジエ、衣装はドロテ・ビスが担当。

“2つの家を持つものは分別をなくす”
インテリアデザイナ一のルイーズは、
パリ郊外の集合住宅で建築家のレミと同棲している。
ルイーズはパリ中心部にも自身のスタジオを持とうとしていた。パリで知り合ったジヤーナリストのオクターヴは妻子があるにもかかわらずルイーズに近づいてくる。
“2人の妻を持つものは心をなくす”

ヴェールがかかったようなオープニング映像。朧月夜の光のように。
孤独が必要
愛されすぎるとうまく愛せない
言っていることは最もだし、
若くて美人の彼女には自由こそ至高。

互いを自分の色に染めようとせず相手を尊重する。
フランスらしい理想ではあるが
“理想と現実”
実のところ、相手を束縛するし嫉妬もするのもまた本当の愛。

満月の夜、レミの部屋が恋しくなり
一人カフェに抜け出すルイーズ。
話しかける男性と共に、観客が彼女の心に寄り添うのを助ける。
「満月の夜は眠れない」

オチはありきたりなものだが
美しき女性パスカル・オジェは本作でヴェネツィア国際映画祭女優賞を受賞した翌月に急死している。
来た道を颯爽と戻る彼女の姿には
格言より何より至高を求めた女性の後ろ姿が強く印象に残った。


2022レビュー#4
2021鑑賞No.460
空海花

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