ねむ

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のねむのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

正直、観てすぐにスコアがつけにくい作品。

簡単に自分の感想というか、感情を表せない。
これは自分にとって遅効性のジャンルなんだと思う。

この監督の作品はヤンヤンに続いて、自分を猫の視点にしてしまう。
一軒家の塀の上、真夜中の人気のない道路、通りすがりの露店や畑。
人間のすること、起きている出来事を通りすがりに黙って見ている。

小四にどの瞬間 恋が訪れて、それが少しずつ薄暗い一瞬に到達したのか 私には正確にはわからなかった。
両親の喧嘩、理由がわからない不安な空気。

小明も小翠も、私を変えようとしないで、この世界は変わらないから、と彼に言う。

世界って、身近な人のこと。でも何かを変える力はなくて、自分が大切にしたいと思った女の子を守るって気持ちは相手が求めていることでも望んでいることでもなかった。

自分の望むことを、相手も望んでいるって
同じ気持ちを共有しているんだって思ってしまうあの頃。私も未だ知らずにそうなっている時がある。

あの最後のシーンの気持ちを一体誰が正確に説明できるんだろう。

この人の映画ではやっぱり それぞれの人が本当に自分の感情を気持ち良いくらい相手にぶつける。
躊躇いがないのを、羨ましく思ってしまう。
そして、最初はチンチクリンに見えてた小明の顔立ちが、段々と惹き付けられる魅力を帯びてくるのに自分でも少し驚いた。

自分まで彼女に夢中になった男の子達の一人になったみたいだった。
ねむ

ねむ