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羊の木のNEWおっさんのレビュー・感想・評価

羊の木(2018年製作の映画)
2.5
「あなたの隣に人殺しがいたら。」

エッジの効いた作品を次々作り上げる吉田大八監督の次なるカードは、山上たつひこ原作・いがらしみきお作画のコミックの実写化。過疎化が進む街への対策として、全員殺人で捕まった刑務所上がりの6人を街で住ませる仕事を請け負ってしまった市役所の役員の話。

自分は原作は未読だが、かなり違うらしく、原作の元受刑者11人から6人へと大幅に削減され、さらに犯行の内容も誘拐や詐欺、薬物、性犯罪など多岐に渡っていた原作から6人全員が殺人犯になっている。6人に削減したのは英断だが、映画を見た後じゃ6人ですら持て余していたので、いっそのこと宮腰とそれに絡む杉山ぐらいでも良かったんじゃ無かったのかとすら思う。

というのもメインは宮腰で、他の受刑者はほぼ受け入れ先の住人との関係がエピソード的に語られるだけで独立しているから。自分はもっとこの6人が絡み合ってヒリヒリしてる緊張感があるのかな、と思ったので拍子抜け。あとテンポが悪い。
途中ののろろ様の更新とかこれいつまで続くのとか思ってしまったし。そしてラストはそこでそれが絡むのかというちょっと呆れたご都合主義でガッカリした。

演じてる役者陣は申し分ないだけに惜しいし、隣に人殺しがいたらあなたならどうする的な禅問答に近い感覚を体験したのは確かなので、ダメと切り捨てるモノでも無いんだよなあ。悪くはなかったんだが、吉田大八と粗筋の期待さの割にはイマイチノれなかったなあ。