《大切な存在の怖さ》
【映画版】
TVドラマの続編だが、一本の作品として見れる内容。テイストはドラマよりもかなりトーンが落とされてダークになってると思う。とにかく演技が好きな作品。
【上戸彩が良い】
不倫、離婚を経た主人公・紗和を演じる上戸彩。鬱状態をベースに、罪悪感、幸福、嫉妬、喪失感の中で揺らぐ演技が素晴らしかった。体重も落としたのか、やつれた姿は見てるこっちが気の毒に思うほどだった。とにかくボロボロの彼女が印象的。
【大切な人】
エグい物語。グレーなテーマ。「信頼を奪ってしまった人間は他者から信頼される価値がないのか」、「罪を犯した人間が幸せになる事は許されるのか」、そして「世界一信頼している人間は世界一憎い人間にもなる可能性がある」などなど、奪う側にも、奪われる側にも、自分は全員に共感できてしまった。そして、それを客観視する周囲の人物たちの冷たい態度にも納得。不倫うんぬんよりも、人物たちの心理面が自分にはちょっと響いた。「いっそ、好きな人が死んでしまえばいいのに」っていう極論も見え隠れする展開。
【その他】
・伊藤歩、演技良すぎる。
・夏のじめっと感。合う。
・LOVE PSYCHEDELICO、最高。
【賛否】
＊ぼやっとネタバレ気味＊
公開当時から賛否が分かれていたラスト。トンデモ展開。不倫を正当化しないにしても罰が過ぎるような結末。TVシリーズの延長線で＂ファンタジー＂を求めに鑑賞した人にとっては当然受け入れられないであろう結末。ただ、自分はこの展開によって更に俳優陣の見どころが増えたような気がして感謝。
【総括】
ドラマ版は「やってはいけない事を見る楽しさ」、映画版は少し踏み込んで「それによる人間不信」に焦点が当たっていたと思う。信頼できる人の存在はどれだけ大切か、かつどれだけ狂わされるのか、という視点に映画的な面白みを感じた。上戸彩、斎藤工、伊藤歩を中心に演技の魅力が溢れてる。
