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女神の見えざる手のblacknessfallのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.5
社会悪的なものと戦うロビイストってまず想像つかなかった笑
大企業とかの利益誘導屋ってイメージしかなかったし。

主人公は物凄い敏腕女性ロビイストで受けた依頼は必ず成功させる。表の手段裏の手段も使い、敵だけじゃなく味方も必要なら欺き、使えるものならゴキブリおも使う←比喩じゃなくて本当にゴキブリ使うから笑

そんな彼女が銃規制法案を通すために強大な組織力と莫大な資金力を誇る銃推進派団体に戦いを挑む。

まともにやったら当然勝てるわけないんで、これまでロビイスト活動で培ってきた手練手管を駆使して、反則すれすれ、もしくは反則技をここしかないて絶妙なタイミングで繰り出していくんだけど、これが本当にすごい。なんか痛快にも感じるんだけど、よく考えるとこれはいかんやつだろって側面も伴うもんなので終始複雑な気持ちになる。

銃規制って目的自体は共感しやすいものなんだけど、この主人公の銃規制にかける思いが社会をより良くしたいって感じに見えず、闘争に憑かれ手段の行使に酔ってる人間に見えてくる。銃規制の行方より、いったいこの女性は何なんだろう?どんな性格で何を求めてる生きてんだろ?ってとこに興味がいく。

この女性、敏腕、冷徹無比のやり手ロビイストなのは間違いないんだけど、半面物凄く不安定でもある。
睡眠抑制剤を飲みフル稼働で仕事したかと思えば眠剤使ってみたり、かなり頻繁に男娼を買って性を発散したり、とにかく公私ともに落ち着いてる時がない。
常に何かに埋没することで自分のことを考えることから逃げてるように見えた。
男娼とのピロー・トークで捨てた人生の穴埋めの為に男を買ってるみたいこと言ってて、この辺にヒントがありそうだけど彼女のバックボーンは語られないのでわからない。

それとこれ、一応実話ベースらしいんだけど、彼女の作戦があまりに深慮遠謀なんで一体どこまで計算通りでどこまで計算外なのか?どこまで事実通りでどこが脚色なのかとっても気になった。
かなり不確定要素が多くてこんなの全部織り込み済みで計算できないように思ったし。一ヶ所だけ計算外でたまたまうまい方に転がって首の皮一枚繋がった場面あったし。

いずれにせよ今まで見たことない女性像を見せられた興味深い衝撃作だった。そーゆー意味ではエル ELLEと同じジャンルの映画と言える。おれの中で。

もちろん、銃規制法案をめぐる政治戦略合戦映画としても見応えあったよ笑
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