niwarie

アンダー・ザ・シルバーレイクのniwarieのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

★2018年私的ベスト映画★

なんかすごいことになってるな!!
私はとても好きだったしハリウッドに対しての熱い暑い厚い思いや、(劇中に登場する監督自身の過去)作品と時代、世に残る遺す意味とは……というメッセージとして受けとってみたけど、なんだこの映画いったい…という。
これはもしかして現代版、ブライアンデパルマ映画(ノワール)なのではないか。
ヒッチコックオマージュよりもヒッチコックを大好きなデパルマっぽい。

昔の映画たちを観直す時にわけわからんけど(みんなが名作って言ってるから)なんかいいかも………と思い込もうとするあの気持ちになれる。
その感覚が久しぶりすぎてとても嬉しかった。

そしてデヴィッド監督の過去作と同様、海やプールでひとしきり泳いだ後、少し眠くなるようなあの不思議な微熱を帯びてました。

もしそこを含めてのこの作りなんだとしたら……と思うと20年後に2010年代を代表する最高のカルトムービーと詠われている予感をさせる1本。

世に出てる作品が多くの人にとって全てわかりやすい理解しやすいモノである必要性なんてないんだっていうブーム(私の中で)に火をつけてくれた。

劇中のZINEの今作タイトルなUnder the Silverlake "from 1928"は第1回アカデミー賞とかかっているからなんだろうか、、、

1928年の夏の終わりまでに実際に公開された映画作品たちが1929年開催 第1回アカデミー賞受賞(者たち=亡霊たち?)なのか、、、

この1928年こそが、この映画内で唯一の置き換えができないヒッチコック映画論でいうとマクガフィンでないものなのか、、、

だからかサムの母親は第1回アカデミー賞受賞なジャネットゲイナー好きという、、、

ジャネットゲイナーのお墓とヒッチコックのお墓の対比として

アカデミー賞の監督賞を一度も受賞していないヒッチコック…
そしてヒッチコックのあの墓石の下に実際に彼は眠っていないという事実…

それもサラが地下のお金持遺跡に埋まり、テレビ電話の画面の中=スクリーンの中の人として生き続けるという皮肉にも、サラの部屋で見つけたあの箱の中身たちとも、ハリウッドへの皮肉へとも繋がっているのか、、、

そしてきっと冒頭シーンから何度か出てくるあのカフェは現実に戻るためのセーブポイント的扱いなのでは。

(メモ: https://en.m.wikipedia.org/wiki/Garbutt_House

http://thesilverlakenews.com/frank-alderman-garbutt-the-mansion-on-hathaway-hill/

ソングライターのモデルだろう実際のあの家のことも…)

アメリカンスリープオーバーは中学生から高校生

イットフォローズは高校生から大学生

そしてアンダーザシルバーレイクで夢と現実の狭間にいる大人へ

と登場人物たちが同監督作品=水辺映画な淵の住人で臭いが制汗剤のような"青さ"(smells like teen sprit的な……)から、ダメで愛おしい大人の階段を
"性"や死と向き合いながらも着実に登ってきてますね。
この監督に一生ついていきたい笑

ここ数年のハリウッド映画内ですら描かれ始めてきた、私たちはもはやサンプリング文化からは逃れられない世代。

そしてそんな逃れられない私たちはこれからどうすれば?……というこの曲のイントロからのあの場面の流れ!

pixies / where is my mind
https://youtu.be/idtE7MkHlW0

(カートコバーンにR.E.Mもだけど↑の歌詞聴いてみてほしい……湖から、沼から出ような!…っていう)

エンドロールでのロゴ&"from 1928"が終わり、劇場を後にして現実に引き戻されたはずの私も

肩には監督の1作めなアメリカンスリープオーバーのトートバッグ、
そのバッグの中にはこの映画のパンフレット、
イヤホンからはR.E.Mを流し聴き、
iPhoneからレビュー投稿をしつつ、
映画のステッカーをどこに貼ろうか考え、
サムみたいな変な走り方で現実の家路についているはずが…
脳内はUnder The Silver沼へとまた還っていってしまっているという底なしの沼 映画でした。

『ヘンに理屈っぽいやつが"マクガフィン"の内容や真相を解明しようとしたところで、そこにはなにもありはしない』
by ヒッチコック
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