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アウトサイダーズのGreenTのレビュー・感想・評価

アウトサイダーズ(2016年製作の映画)
3.0
ブリティッシュ版「ワイルド・スピード」ですか?!

チャド(マイケル・ファスベンダー)は、トレーラーハウスで暮らしている犯罪一家、カトラー家の息子。いまや自分も2児の父親で、子供の将来のために旅から旅への犯罪暮らしはやめて、定住したい。

7歳くらいの男の子を膝に乗せて、野っ原で猛スピードで運転させてるシーンから始まるのですが、スバルのアウトバック?かなんかにすし詰めで乗って、「ヒャッホー!」みたいな、クレイジーな人たち。

しかもこのカーチェイスは、うさぎを獲るためだったらしく、みんなトレーラーハウスに暮らしているし、「これって、『スナッチ』でブラピが演じたアイリッシュ・トラベラーってやつ?」と思ったらやっぱりそうでした。いつもトレパンはいてるし(笑)。

父親のコルビー(ブレンダン・グリーソン)は、優秀な犯罪者に育て上げたチャドに辞められたら困るし、それにカトラー一家の伝統、みたいな執着もあるので、チャドが独立して真っ当な道を歩もうとするのを邪魔する。

こういう「無法者」マインドを持つ人たちっているんだなあって思いました。コルビーは「学校は子供を洗脳するところ」「警察は人々の自由を奪う組織」みたいに思ってて、しかもすっごい信心深いので「神様は自分たちの味方」と思っている。

でも、そういう側面がないとも言い切れませんよね。学校だって妙に頭ガチガチの先生がいたりするときもあるし。

で、コルビーは、嫌がるチャドを無理やり盗みに行かせたり、辞めさせないようにする。チャドは、子供がいるのに捕まりたくないから断るんだけど、「家族の絆」とかそういうのを持ち出されて断れない。

けどチャドは運転めちゃくちゃうまいし、証拠隠滅もうまいので、捕まっても証拠がなくて釈放されちゃう。この運転のシーンがトーキョー・ドリフトか!ってくらいすごい。子供を学校に送っていく時でさえ猛スピードで走ってるし(笑)。

これ結構、ブリティッシュ系の役者オールスターって感じでそれも盛り上がったんですけど、カトラー家の若い衆の一人がバリー・コーガンだったのが個人的にはツボでした。クリクリ頭にハンチングかぶって、すっげーカワイイ。ブリティッシュ系ってああいうカッコ似合うよなあ。この人『聖なる鹿殺し』とか『アメリカン・アニマルズ』ですっごい気に入ってたんですけど、その後パッとしませんよね。『エターナルズ』観なくちゃダメ?

チャドは荒くれ者でその日暮らししか考えない一家の人たちに共感できないんだけど、かと言って、普通の社会で暮らしている人たちには差別される。警察に目を付けられているし。

で、最後は警察に捕まる覚悟で息子に「お前もカトラー一家の男だ。しばらく家族の面倒を見てくれ」とか言って終わる。

んーっと、DVDのインタビューによると、これは父親から息子へ、孫へ、みたいな家族の物語なんだそうなんだけど、犯罪者を美化している感じがした。コルビーがチャドを引き留めようとするの、ひどいなあと思うし、だけどチャドも普通の社会に馴染めなそうだしなあ。

結局、チャドが刑務所に入っている間に、チャドの幼い息子はコルビーに感化されて犯罪者になってそう、って感じで、尻すぼみ的に終わっちゃう映画でした。
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