Emma

太陽の下で 真実の北朝鮮のEmmaのレビュー・感想・評価

太陽の下で 真実の北朝鮮(2015年製作の映画)
3.0
ドキュメンタリーとしては淡々と進んでいくので、起承転結が大好きな観客には少々退屈な作りかもしれないです。

しかしながら、徹底的な監視された環境下でカメラを回し続けた制作陣の命がけの闘争がそこにあったと思うと、すごいものを見せられているなあと思わずにはいられません。

日頃見ている北朝鮮が脚色された姿であることは想像に難くない事実ですが、それでもこうして表と裏の映像を見せられると、本当に、北朝鮮はごくわずかな部分しか世界に見せていないのだと痛感しました。

豪華な式典を映すようスタッフに指示した一方、街灯もつかないさびれた暗闇の街を歩いて帰っていく人々。しまいにはみんなで人力でバスを押す。

脚色された姿と現実の生活の乖離の激しさに、リアルなトゥルーマン・ショーを見せられているような、寂しいやるせなさを感じました。

輪廻転生とか前世だとか考え方は人それぞれですけど、自分が日本に生まれたのはなんという幸運で、少しタイミングが違えば北朝鮮に生まれていた可能性もあるわけで、他人事と思ってはいけない世界だと思います。

徹底的に感情を奪い取られる世界に生まれていたら私だってこの女の子のように生きるしかなかったかも。ぜひ、見て考えて見てほしい1本です。
Emma

Emma