ノラネコの呑んで観るシネマ

ダイ・ビューティフルのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ダイ・ビューティフル(2016年製作の映画)
4.3
トランスジェンダーのミスコン女王が死ぬ。
遺言に従って、仲間たちは通夜の七日間、毎晩有名セレブ風に彼女のメイクと衣装を変え、ユニークな通夜の様子はSNSで拡散されてゆく。
通夜の夜の七変化を軸に、幼少期から死までの人生がランダムに描かれる。
愛に裏切られ、それでも愛に生きる主人公の、短くも波乱万丈な人生劇場。
厳格な父親との確執、初恋の残酷な結末、身寄りの無い子の母となり、一瞬だけ訪れる真実のロマンス。
日本とはかなり違う、ディープなフィリピンのゲイカルチャーが興味深い。
地域ごとにミスコンがあり、高額な賞金が出るから出場自体が職業になっていて、TV中継される全国大会もある。
面白いのがナゼかミスコンがインターナショナル形式で、皆フィリピン人なのにウルグアイ代表とかスコットランド代表とか勝手に名乗ってること。
アレはどういう背景があるのだろう?
通夜の七日目、生涯の親友が施した、彼女の最後のメイクに涙。
最後まで分かってくれない人もいるけど、彼女を取り巻くずっと大きくて沢山の愛を感じさせる人生賛歌だ。
ランダムな時系列は、2時間で一生を語ることを可能にしているが、そのぶんやや掘り下げは足りないか。