地下からきました

THE BATMAN-ザ・バットマンーの地下からきましたのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

当時映画館で観たとき、感じたのは
「濃密な黒」という感想と「コリンファレル誰やねん」だった。

アンミカよろしく何百色の黒が画面を覆い隠す。
暗い映画館の中で微妙に濃淡の違う黒を見分ける作業に加え、登場人物も軽いジョークを飛ばす奴など一人もおらず、重苦しい雰囲気が漂う。
歌い出しが気だるい歌や、重低音bgmもサイコーに黒い。

面白いが、三時間という長尺と濃度で恐ろしく長く感じた。どろどろのブラックコーヒーを飲まされたように口や胃が重い。

本作のバットマンは武骨。己の身一つで戦う姿に「肉」を強く感じる。
バットモービルで見せた執念深さや、暗闇に溶け込み奇襲する姿は最早ホラー。
歴代シリーズ作のようにバンバンメカを開発しない所に、ブルースの余裕のなさを感じる。

二回目の視聴ではより明確にリドラーの動機に共感できた?
「知られていない」だけで同情も慈悲も与えられなかったリドboy?いや「知らないフリ」をされたのか?
貧困に喘いだ原因と世間を憎む悪のインフルエンサー?がバットマンをバディ物の相棒のように利用するという、ダークナイトとは違う狂気の「バットマンの利用方法」を描いている?

復讐と称し、「悪を潰す」バットマンに力を注いでいたブルースが、完全な者などいないと知ることで「弱きを助ける」バットマンへと成長し、聖火を掲げる姿は感動した。
奇しくもこの気付きを与えたのはリドラーであり、リドラーの大誤算であったという構図も面白い。