カタパルトスープレックス

あなた自身とあなたのことのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

あなた自身とあなたのこと(2016年製作の映画)
4.3
ホン・サンス監督がキム・ミニと出合い作風が変わったとされる最初の作品。

確かに変わった。すごく変わった。

以前のホン・サンス監督作品の特徴は前半後半二部構成、ズームの多様、グダグダ男のダメな男女関係。これです。そして、本作でもそれは変わってない。え?変わってない?はい、作家性は変わってないです。変わったのは視点。

以前のホン・サンス監督作品の視点は男性でした。本作の視点は女性です。視点が変わるだけで、こんなに印象が変わるのか。

本作の主人公はヨンスとミンジョンのカップル。ヨンスはこれまでの主人公のように不誠実ではない。むしろ誠実だし、ミンジュンの方が不誠実に見える。それでもヨンスは沼にハマってしまう。足掻いてしまう。

ミンジュンは誰とも初対面のように接する。それが男たちを惑わせる。ヨンスも困惑する。どうすればいいんだ?価値観が揺さぶられる。男が大事にしていることと、女が大事なことは違う。男は男の価値観を押し付けようとする。

以前のホン・サンス監督の作品は男の独りよがりの価値観をコメディーにしていました。これが視点を切り替えることでミステリーになるしファンタジーにもなる。