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不能犯のTSのレビュー・感想・評価

不能犯(2018年製作の映画)
2.8
【利己的な人間】64点
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監督:白石晃士
製作国:日本
ジャンル:クライム・サスペンス
収録時間:106分
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2018年劇場鑑賞6本目。
スリービルボードの前座くらいの気持ちで鑑賞。良いとはいえないが、言われているほど悪いとも思わなかったり。。デスノート的な感覚があり、素っ頓狂が故に逆に予測しづらい展開はまずまずといったところでした。ただ、やはり気になるところは多々ありました。

とある電話ボックスに殺したい人物の名を書くと、黒いスーツの男が現れその人物を殺してくれるという。ただし、純粋な殺意がない場合、自分も不幸な目にあうのだが。。

不能犯て言葉、実際にあるのですね。知りませんでした。意味としては、意図的に犯行を起こしたものの、その結果から到底犯行を断定出来ないものを不能犯というそうです。つまり今作においては、実際に手を加えて殺害を行なっていれば何らかの証拠が出てくるのですが、黒いスーツの宇相吹はマインドコントロールの類を使い人を殺すため、証拠がでてこないのです。最初のスズメバチから始まり、その殺害方法は見事という他ありません。そしてその不能犯に立ち向かう刑事たち。ありきたりのサスペンスですが、殺し方がやや斬新であるため一定の面白さがあります。

ただ、やはり粗い箇所はあり、淡々と殺害案件が続くので脈絡がない、ワンパターンのセリフ、アクションを続けるなど微妙な点があるのも否めない。そして、これは別に沢尻エリカが悪いわけではないですが、彼女が演じる多田刑事がとても気にくわない。彼女は宇相吹と似ていると言われるシーンがありますがその通りだと思います。結局は自分のキャリアが一番大事であり、自分の手を汚すことなく問題を解決しようとする節があります。人々はこれを偽善者と呼ぶと思われますが、ある意味彼女が愚かな人間の象徴であるのかもしれません。人は利己的であり、どれだけ他人を好いてても一番大事なのは自分。そしてその自尊心をひどく汚された場合、殺意が生まれるのです。よくよく見れば中々哲学的、倫理的な映画でもあります。

全く期待していなかったため、そう考えれば十分楽しめました。だからと言ってオススメするレベルではありませんが、松坂桃李が死ぬほど登場するので彼を好きな方には必見かもしれません。
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