エイデン

氷菓のエイデンのレビュー・感想・評価

氷菓(2017年製作の映画)
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2000年
“神山高校”に入学した奉太郎は、無気力で省エネなスタイルを貫き勉学にもスポーツにも恋愛にも活力を出さない薔薇色ならぬ“灰色を好む高校生”
それに対して多彩な部活動で知られる神山高校を満喫しようとする中学からの腐れ縁である里志は、奉太郎には縁がない話だろうと笑う
しかし奉太郎は既に“古典部”への入部届を用意していた
実は奉太郎が頭の上がらない神山高校のOBであり世界中を旅している姉 供恵が、わざわざ手紙で古典部へ入るよう指示していたのだ
古典部はかつて供恵も所属していたが、ここ3年入部者はゼロで、今年誰も入部者がいなければ消滅することとなっていた
放課後 部室へ向かった奉太郎は、鍵を開けて部屋へと入るが、そこには同じ古典部に入部したという隣のクラスの少女えるがいた
えるは選択科目で1度しか顔を合わせていない奉太郎を覚えており喜んでいたが、省エネな奉太郎としては彼女が入部していたのであれば自分が入部する必要は無かったと後悔する
彼女は「一身上の都合」で入部したと理由をはぐらかし、途端にいる意味を失った奉太郎は早々に帰ろうとしていた
その時 えるは自分が部室へ来た時は鍵が空いていたが、奉太郎が来た時は鍵が閉まっていたことから、自分が閉じ込められていたことに気が付く
それがどうしても気になると言うえるの頼みで、奉太郎は偶然追いかけて来た里志を巻き込んで、その理由を推理することとなる
一度本気で考えれば頭の回転が早い奉太郎は、様々な知識に精通しデータベースを自称する里志の助けもあり見事に謎を解いてみせるのだった
改めて自己紹介をした里志は、えるが豪農として知られる千反田家の令嬢だと気付き、彼女の誘いで古典部に入部することを決める
奉太郎も断ることができず入部を決め、えるを部長に新生古典部が誕生したのだった
しかしそうは言っても先輩もいない部活のためどんな活動を行えば良いかもわからなかったが、えるは神山高校文化祭“カンヤ祭”に文集を出すことを決める
その関係で過去の文集を読もうと図書室にバックナンバーを探しに来た3人は、そこで図書委員をしていた奉太郎の中学の同級生で、里志に惚れていた毒舌家 摩耶花と再会
そこで摩耶花が図書の貸し出しに関する謎を話し、えるの頼みで奉太郎は謎解きをさせられる
それも見事に解いてみせた奉太郎に、えるは自身が古典部に入部した理由である ある頼み事を引き受けてほしいと言い出す
それは元古典部部長で10年前に失踪した叔父関谷から、えるが幼稚園児の頃 何かを聞き思わず泣き出してしまったことがあり、その際 何を言われたのかを思い出させて欲しいというものだった
やがて摩耶花を迎えた古典部の面々は、文集のバックナンバー『氷菓』を発見、それをきっかけに33年前、関谷が所属していた古典部で起きた事件が明かされていく



米澤穂信の同名小説の実写映画
角川映画40周年記念作品

いわゆる学園ミステリーな作品で、33年前に古典部で起きた事件に迫る物語

ぶっちゃけミステリー要素に関しては、都合良く降って沸く手掛かりと天才的なホームズ役による状況証拠だけの推論で展開されるもの
まあ二転三転する推理で引き込まれはするけど、何より起きてる事件のスケール感がやや小さめなので映画として映えないのは事実かな
とはいえ何とか形にしようと推理パートのイメージ映像で魅せようとはしてる

ドラマ要素としても、無気力省エネな主人公 奉太郎が、好奇心旺盛なえると出会い、自身の人生観と対比するような鮮烈な時代を生きた関谷の影を追うことで、わずかな心境の変化に繋がっていく構成は嫌いじゃない

原作未読だけど映画向きではない作品な気がするし、アニメ版のヒットの陰に完全に隠れてしまった作品という印象かな
広く受け入れられる作品ではないとは思うけど気になりますって人は観ましょう
エイデン

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