はまたに

gifted/ギフテッドのはまたにのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.6
叔父と姪、祖母と叔父(子)、祖母と孫という3点の座標から頂点=【祖母と母の物語】を求めよ。というナビエ-ストークス方程式より難しい命題を「完全証明」してみせた逸品。

うお〜!!! う、うまいこと言うたったぁ〜! おれ天才やん!!! 満足!!!!!


基本これが感想の全てです。
…なんだけど、これじゃあまりにも頭が悪いのでちゃんと感想を。

余人をもって代えがたい麒麟児の将来をどう見据えるか。その子にとっての幸せとは、というのがテーマのヒューマンドラマ。なんだけど、作品自体はぜんぜん重くなく、優しさとくすぐったい笑いが散りばめられている。

好感を持ったのは勧善懲悪な作りになっていないところ。裁判の合間、主人公である叔父と祖母の間で交わされる親子の会話には憎しみがない。完全な対立ではなく、考え方の違いがあるだけ。断絶の先の物語は全く違う方向に進んだはずだが、そうはならなかった。

また、お金のない側の弁護士が無能ではなく、むしろデキル人物として描かれているところも良いバランス感覚だと思った(彼は彼の職務と職能を最大限を行使しただけで、その後の展開への責任は全くない)。

簡単に言うと、描き方が誠実、なのだと思う。その誠実さの土台の中で、子役のマッケンナ・グレイスが光り輝いている。子供らしい無邪気さと母と同じ性質と思わせる「くだらない」の萌芽。これを可愛らしさいっぱいに演じのけていて、楽しく振り回される叔父の感覚を共有できる。近年、子役は大当たりの子しか見てないけど、彼女もまたしかりでした。

そうした物語にあってうまいなあと思ったのは、最終的に写真とセリフ以外には登場しない(回想シーンすらない)母にフォーカスが当たること。めいっぱいの喜怒哀楽を使って描かれる叔父と祖母の軋轢や葛藤、娘の思いだけでも十分成立するのに、その帰結がなんの感情表現もしない故人の心情とは。涙腺ゆるませながらも大いに感心してしまったよ。

そんなわけで冒頭の「うまいこと言うたった感」につながるわけです(そしてそのうまいこと言えた自分にも大いに感心してしまったのです)。

ということで、優等生じゃないクリス・エヴァンスも新鮮味あったし、年の瀬にきっちり劇場で観といてよかった締めの1本でした😄
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