はまたに

オッペンハイマーのはまたにのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.6
分裂と融合。

それは人の人生、出会い、判断にも。
ということてすかね? ノーランさん!?

ということでオッペン化粧品ハイマー。3時間はさすがにダルいやろ〜と思ったのにぜんぜん余裕だったの流石。派手なアクションのない人間ドラマなのにすごい。

信念の人とか葛藤の半生とかいうよりは、降りられないゲームに乗ったが最後、背負った咎はいついつまでもお前を蝕んでいくんだぜ的な感じだった。「キーングボンビ〜。俺様の世界に安住なんてないのだ、全部捨てやろう」みたいな。

一方でゲームに乗らない世界線はそれはそれでドイツの後塵を拝しそうでないだろうし、科学者としての自信と向上心、相応の愛国心から引き受けただろうとはいえ、そこに広がっているのは進むも地獄、引くも地獄な地平だったんだろうなとは思う。選択権のない天気の子みたいな。

あと戦時の英雄がその後政治スキャンダルに引っ掛けられて失脚したりするの、国士無双の人とも言われた中華平定の大功労者なのに、平和になった途端に劉邦に疎んじられて処刑される韓信みたいとも思っちゃった。戦争あるあるかも。

公開が遅れた原因というかふざけんな的な意見が多数出たのは原爆のフラッシュバックのところなのかな。ベロベロに爛れ落ちた皮膚の描写がただの薄いヴェールだったり、路上で苦しみ呻く人が単なるゲロ吐きドランカーだったりという矮小化っぷりは確かにひどい。これがアメリカで大規模上映するためには仕方のない譲歩だったのか、「科学者本人にもその凄惨さを正確に想像することができなかった」的な描写なのかわからんので「おいおいおい」と言うに止めとくわ。

そういうマイナス点も含めてだけど、これはノーラン作品の中でもトップクラスにおもしろかった。役者陣の熱演も全員すごかったしね(ロバート・ダウニー Jr 途中まで気づかなかった)。

でも結局、3時間かけて伝えたかったことってなんだっけ? 「タイムズ誌の表紙を飾ることってアメリカ人にとってはとんでもない栄誉なんだな」でいいんだっけ? え、違うの? やっぱノーランはむずかしくってわかんねーわ!(←オッピーに秒で落第させられる人)
はまたに

はまたに