はまたに

カラオケ行こ!のはまたにのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
3.6
紅やねん。

ちょっと綾野剛の関西弁にむむ? と思うこともあったけど、気負わず見られてよかったですわでんねん(むむ?)。

原作での素直・戸惑いの聡実くんが多少ヒネた陰のある子に描かれてるのは思春期ってことを加味すればぜんぜんアリだと思うけど(切れ長の奥二重の端に前髪のカーブがかかる感じがよろしい)、和田くんがかなり気難しく突っかかってくる感じになってたのはちょっとダルかったな。あと、オリジナルキャラの電影少年と和田くんがちょっと似た感じの見た目だったので序盤は混乱しちゃった。

一方で原作と違ってよかったのは紅の生かし方。中学生が関西弁に翻訳した内容がすごくいいし、原作のような頬を赤らめる描写がないぶん BL 的なニュアンスが薄れてるところをこの歌詞が補っているというのもうまい。そもそも BL 要素を和山やま先生が指向してるのかは知らんけど。

ギャグは映像化されてもオフビート。そりゃ、つげ義春の原作で『リアリズムの宿』とか作ってる山下敦弘監督だし、このテイストはお手の物だろうね。終始クスッと。でももっとチャンス大城とかのシーンで爆笑したかったというのが本音。9割のクスッとの中に1割大笑いがあるとよかった。でも別にだめってわけじゃないよ。

ビデオデッキで見てた作品。たぶん 70 年以上前の著作権切れの作品っぽかったから、監督や脚本家の知識が豊富だとこの映画のこのシーン、このセリフに語らせよう、代弁させようってのができるのねと感心。

と、いろいろ書きながら、カラオケしかり、ビデオしかり「再生できるもの」が裏テーマなのかなと思っちゃった。曲を再生して何度でも練習できるカラオケ。でも青春は再生できない。名作は色褪せず何度でも観ることができる。でも劇中のビデオデッキは巻き戻すことができない。それは高校生活も変声期もおかしな出会いも。

うむ、つけた点数の割には意外と語れることが多いぞ。でも締めよう。私の考察やら感想やら批評やらは所詮取ってつけの裏声仕事でしかないのだ。

ならば最後に、私の地声で本作を評してみよう。
「あ〜、おもしろかった😄」

だめだやっぱ裏声必要だわ。
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