はまたに

ニューヨーク・オールド・アパートメントのはまたにのレビュー・感想・評価

4.2
懸命に。

日本人の感覚からすると真面目ではないかもしれないけれど、彼らは懸命に生きている。理不尽だし透明だし報われない。しかもそれは自分たちの人間性には起因していないわけで、やるせなさも募る。でも懸命に。生きるのである。

クロアチア人のおねーちゃんだけが救いようがないんだけど、ペルー人の親子はなんとか前を向き、白人の男どもは今日も変わらず白い特権を謳歌する。そんなコントラスト。

この白人男たちの描き方に多少の私怨を感じるけど、だってそう感じたんだから仕方ないんだろう。透明人間扱いされた兄弟のストーリーにあってその他の人畜無害なな白人男性を「透明」にしちゃってるところにメタ的なサムシングを感じるのは否めないけどね。でもそんな奴いそ〜とは思っちゃったから、白人男性というより資本主義を乗りこなしてると思い込みつつ単に飼いならされているだけの男たちの哀れさなのかもしれない。というか、そこは本筋じゃないわ。

話は思ってたよりシビアだったけど、なんか観賞してよかったというか響くもののある作品でした。個人的なことだけど、コロナ以降は大作・話題作ばっかりに傾いて見てたから、こういうのをきちんと拾っていくことに充実感を感じる。『Perfect Days』の平山さん的な感覚に近づくのだ(まだまだ影響受けてる)。
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