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人類遺産のpanpieのレビュー・感想・評価

人類遺産(2016年製作の映画)
4.0
絶対に観る事の出来なかった金曜日の夜1度だけの上映を大好きな映画館で観る事が出来ました!
仕事は同じなのだけど来月から少し変更になりその手続きの為今日は初めて早上がり出来たのです。
フォローしている方のレビューで今作を知りこの日1日1度だけの上映と知っていたけれど観られないと思っていたから思いがけず観られる事になって喜びもひとしおでした。

でも忘れていました!
前に「David Bowie Is」を観た時は金曜ではなかったけど1日1度だけの上映はこの時に経験済みだったのに後ろの席へ座ってしまったら案の定通路にパイプ椅子を並べる程の満員でおまけに前に座った方が姿勢のいい方でした!(ToT)
一番前で観るべきでした。(;_;)
ちょうどスクリーン真ん中の下から4分の1位が前の方の頭で埋まっていて思いっきり座高を伸ばして後ろの方に迷惑だなと思いつつもイラっとしながら観ていたらとうとう睡魔が襲ってきました。(;_;)
ナレーションも字幕も一切なく鳥のさえずりや羽ばたく音、雨音や風の音がとても心地良く眠りに誘われてしまいました。
他の方のレビューで仕事帰りに観たら寝てしまったとよく見かけますが私も前半が始まった辺りから船を漕いでグラっとしたら起きてを繰り返してしまいました。

グラっとしてやっと完全に目を覚ましたら何処かの廃病院を映し出していてここは福島だったのでしょうか?
そう思ったのは看板に日本語の文字があったから。
散乱するレントゲン写真が印象的でした。
個人情報をとやかく言う現在では考えられないけれどもしやカルテなどもそのまま放置されているのではと思ってしまいました。
天井が丸くて放射状の綺麗なデザインの建物で廃墟となっていてもここが待合室だったとか入院施設だったとか散乱する椅子やテーブルやベッドなどで使われていた頃の様子を想像出来ます。
人間に必要とされ建てられ使われていた建物が朽ちてゆく様は何故か不思議な生命感に溢れていて惹きつけられました。
ボーリング場も無人で朽ちていたし駐輪場も右側は整然と並べられていましたが左側はぐにゃぐにゃになった自転車が放置されていて
線路には草が伸びていて使われていない事を物語り人の痕跡は何処にも認められません。

そして楽しみにしていた軍艦島!
これだけもっと長く観ていたかったのですが(笑)割とあっけなく次に移ってしまいました。
軍艦島のドキュメンタリー映画はないものかとこの時に思ってしまった程。笑
建物なども朽ちていますが当時アパートなど珍しかった大正時代に建築されたそうでおよそ200年も経っているのに未だ崩落しておらず今は世界遺産に登録されているのできっと保護されているのだと思われますがそれにしてもシルエットも質感も私には美しく映り毎度見る度に魅了されます。
軍艦島ツアーにいつか行きたいです。笑
でも早く行かないと崩壊してしまいそう。

次は海に建てられたジェットコースターの残骸。
何故海にジェットコースターがあるの?と思って調べてみたら2013年のハリケーンで壊れてしまったアメリカ・ニュージャージー州の海辺の遊園地だそうで正確には一部遊園地として再開しているそうで廃墟ではないらしいです。
でも映画としてはジェットコースターの骨組みと打ち寄せる波とのコントラストが美しくてとても印象的でした。

もう1つ印象的だったのは砂漠の中の廃墟のシーン。
建物から外国だと分かりましたが朽ち方が凄くて調べてみたら湖底に水没したアルゼンチンの町が干ばつで奇跡的に姿を現したそう。
水没したと言う湖は跡形もなく消えて無くなり地面ではなく砂に覆われて砂漠と化していました。
何故かとても今まで見た廃墟とは一線を画しており生活感が跡形もなくただ建物の外観だけが砂と共に風に吹かれていく様が悲しかったです。


観る事が出来て本当によかった!
でも前半の何度も眠りに誘われて頭ぐらぐらして観ていた時はおそらく福島だったと思われどうしてもまた観直したいです。
仕事帰りの映画はやはり厳しいですね。笑
でもフライデーシネマに初めて行けた事が嬉しかった!
これから金曜日が休みになる事や映画を観れる程早上がりが出来る事はないと思われこれが最初で最期かと。(ToT)
DVDになったらもう一度観たいですね。
ニコラス・ゲイハルター監督作品は初めてで「いのちの食べかた」も観てみたいです。
パルフレット買わなかった事を後悔しています。

北海道にも炭鉱で栄えた夕張の奥にある町が近い将来ダム湖として水没するそうで何年か前に行った事を思い出しました。
かつては炭鉱が盛んで人々で溢れて活気があり栄えた町の面影はなく住居の窓やドアには木が打ち付けられて開かなくなっており草もぼうぼうに伸びていて独特の雰囲気でした。
軍艦島も石炭採掘で栄えた島ですので時期は同じだと思います。
燃料を石炭に頼っていた時代から石油に変わり需要が減って廃れて行った町。
まだダムが出来たとはニュースで聞いていないのでいつかまた行ってみたいと見に行った事を思い出しました。

ピアノの調律に毎年来てくれる調律師さんに言われた「ピアノは無人になると音が狂ってしまう。人が住んで生活する事で一定の温度が保たれ人と一緒に呼吸するんです。それは建物も同じです。」と言われた事を思い出しました。
高齢化が進みそこに住む人が亡くなり廃墟が増えている日本。
廃墟が身近になり珍しくなくなっていくのかもしれません。
暗くなった帰り道鑑賞後色々な事に思いを巡らせて夜の映画鑑賞を楽しめて心のリフレッシュになりました。
少し寝ちゃったけど。笑
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