ぴのした

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のぴのしたのレビュー・感想・評価

3.4
席が前の方しか空いてなかったので、打ち上げ花火、まさに下から見ました笑

一般受けはしないかもしれないけど、腑に落ちないラストや細部の伏線についてあーだこーだ考えるのが好きな人や、コアなアニメをよく見る人は結構好きな映画だと思う。僕は原作が好きだから見たけど結構良かったよ。

主に後半部分が原作とは大きく違うけど、原作の拡大解釈としてはこういう展開もいいんじゃない!?って感じ。岩井俊二はこの作品は銀河鉄道の夜のオマージュだって言ってて、その銀河鉄道の夜らしさを前面に出したとしたら、原作にはない電車がトンネルを進むシーンや、あのラストにも多少納得がいく。

原作へのリスペクトも多くて嬉しかった。プールにナズナが横になる印象的なカットや、顔にホースで水をかけるシーンはもちろん、「取ってよ」「夜の商売とか?」「観月ありさ〜〜!」など印象的なセリフもそのまんま使われててグッときた。広瀬すずと菅田将暉の声も、原作の子役が声をやっているのかと思うほど抑揚や声の出し方が原作に忠実で素晴らしかった。

ただ、原作にあったような小学生の恋だからこそのノスタルジーや、大人びた同級生への憧れ、どうあがいても終わりから逃げられない1日の恋っていう切なさと刹那さはなくなっていて残念だった。

演出面もなかなか面白かった。ループする日常の表現に、風車が回るところや、螺旋階段に沿うようなカメラワークを使うところ(しかもループした世界では風車は反対に回り、螺旋階段のカメラワークも逆回りになる)も面白い。

シャフトのアニメを見たのは初めてだけど、水の表現がとにかくすごい綺麗。ただ、キャラクターの唇とか肩がテカテカし過ぎているのはちょっと苦手。やりすぎ。あとは謎の球を投げるシーンとかはすごく手がこんでておお〜ってなるんやけど、雑なカットも結構目につく。全体的に頑張ってほしい。

見たいと思ってたけど酷評されてるから迷ってるって人、ちょいと難しいのもたまには腰入れて見にいってみるか!ぐらいの心持ちで行くのがいいかと。できればなんとかして岩井俊二の原作を見てからだとなお楽しめます〜〜(45分しかないのですぐ見れます)。(できれば「少年たちは花火を横から見たかった」っていうドキュメンタリーも見るともっと面白いよ)(それは2時間もあるけど)