三畳

ぼくの名前はズッキーニの三畳のレビュー・感想・評価

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
4.6
子供は涙の量が多いから、寂しさも悲しさもその目にまるごと映してキラキラ光る。

屋根裏の扉を開けて確認した後、泣くでも降りるでもなく、そのまま閉めた時、幼い心が静かに閉じる音が聞こえるかのようだった。

こんな機能不全の家庭に生まれても、優しくしてくれる人をまた好きになる。
楽しいことの方へ心が駆け出す。
ここにまさしく子供の精神的生命力を感じる。
すり傷が次の日にはもうくっついてる、細胞が修復する速さで。ひりつきながら生を求める尊さよ。

ちっちゃな手と手を取り合って、相手の痛みへの思いやりが育まれる、まばゆい成長の瞬間を見せてもらった。特にシモン君。あんな風に振る舞えるなんてすごいよ。誰にでもできることじゃないよ。

スキー場で親子を見つめるみんなの眼差しが画面越しに刺さる。抱きしめてあげることができないぶん、目の前の我が子に愛情全部注ぎたい。
三畳

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