ぬ

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのぬのレビュー・感想・評価

4.3
すんごい面白かった。
こんなん、マーゴット・ロビーを好きにならざるを得ない・・・
まずキャストが全員ハマリ役だし、本人達のインタビュー映像を使っているような胡散臭いドキュメンタリー風の作り、キャラクター達が観客に話しかける演出や、絶妙なユーモアで素晴らしい悲喜劇になっていてとても面白かった。
出てくる人たちがみんな良くも悪くも強烈でパワフルだし、波乱万丈な人生だとかゴシップ的な面白さが目立つけど、ポップに描かれれば描かれるほど、救われなさや逃げ場のなさが際立って、ものすごくつらい。
輝かしいスケートシーンの絶対的な技術力、迫力、美しさに圧倒されればされるほど、彼女のスケート選手としての純粋な努力と才能を知れば知るほど、トーニャの私生活の荒れ具合との落差に人生のどうしようもなさを感じる。
それにしても登場人物達の証言と映像が矛盾していて、誰が本当のことを言っているのか?全員が信用ならない感じも、すごくうまいと思う。
全員胡散臭いから逆に平等っていうか・・・
かなり皮肉な映画だけど、トーニャ・ハーディングを一人の人間として切実に描いているのが伝わってきて、最終的にトーニャを応援したくなっていた。
文字通り彼女の人生のすべてだったスケートを奪われても、クソ食らえ!と唾を吐き棄てながら生きるしか道がないトーニャの人生は、私には力強く美しく見える。

ひとつ文句を言うなら、「史上最大のスキャンダル」という副題のセンスのなさがクソである。
ぬ