ぬ

ボーはおそれているのぬのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.2
精神弱ってるときに見る夢に似てた。
めちゃめちゃ急いでるつもりなのに全然大事な用事に間に合わない、派手に事故る、突然自分が許されないことをしてるのではパニクる、めっちゃ狭い土管の中で身動き取れなくなる、ツタヤの棚に寄りかかってしまいドミノ式に全部倒す、みたいな夢です。

夢ではなく現実でも大切な予定に間に合わないのではないかという不安(のせいで眠れなくなる)、持ち物から目を離して失くす、タイミングが悪すぎる、不条理なことに巻き込まれるのではないかという不安(により引きこもる)、あるゆることへの罪悪感、それを紛らわすための偽善的行い、など、基本的にボーに共感できてしまい、意味不明映画という感じではなかった。

母親との関係という面も共感できるかは別として理解はできる。
監督の過去作『へレディタリー』や『ミッドサマー』などでも、血の同一性(つながり)、共同体、帰属意識、などが大きなキーワードとなってるので、今作もボーの母親は、本当に母親、というよりも、帰属意識などのメタファーなのかな。
インタビューで今作を「ユダヤ人の『ロード・オブ・ザ・リング』みたいなもの』と言ってたので、ユダヤ系ファミリーに生まれ、ユダヤ人として生きる上で、つねに自分の行動や判断、選択が審判にかけられているような感覚を持っていたのかなと思ってみていた。

先が展開できない映像がかなり好きだったし、なぜか観たあと元気になった。
ぬ