クズばかりで、やさぐれ、あばずれた登場人物だらけの物語。
ナンシー・ケリガン襲撃事件の真相に「迫る」とかいう事実を明らかにするというものでなく、どういう人物たちが関わっていたのかということに終止しているところが偉い。
トーニャの母親の異常さ、これがとにかく凄い。どの母親よりも強烈だ。
また、十代で結婚したはいいが、その夫が躊躇なく妻を殴れるというDVのクズぶり(その間抜けな仲間も)がよく描かれている。
大会の審判をはじめ、周囲をみな敵だと考えているトーニャを育てたアメリカ社会をリアルに表現している。
マーゴット・ロビー、いつも不満げなトーニャの演技も巧い。夫は『アヴェンジャーズ〜』のウィンター・ソルジャーことバッキーも演じているが、今も同じ役者とは信じがたいほどだ。
親は選べないとはいうが、教育・生育環境がいかに重要かを表している映画だった。
今でも、少しもめげていないトーニャを生んだ、これもアメリカだ。