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犬ヶ島のFARGOのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
4.2
【近未来の日本を舞台に、犬インフルエンザの蔓延によって離島に隔離された愛犬を探す少年と犬たちが繰り広げる冒険を描いたストップモーションアニメ】

待ちに待ったウェス・アンダーソン監督最新作❗️
大好きな監督が、我が国日本を描くと言うのだから映画館で観ないなんて冒涜は出来ないと、公開初日に鑑賞してまいりました😊

【ウェス・アンダーソンによる新作】

14万4000枚もの写真をコマ撮り。
構想に6年の歳月。
445日をかけて撮影。
総勢670人のスタッフ。

これを凄いと言わないで何と言うか❗️

同監督作品で2009年公開の『ファンタスティク Mr.FOX』以来のストップモーションアニメ映画🎬
約10年の間に確実に進化した映像技術が様々な種類のアニメ作品を更なる高みへ持ち上げる昨今。『KUBO』や『LEGOムービー』など筆頭に、名作と呼ばれる作品に並び、今作『犬々島』もまた今後のアニメ作品界を牽引するであろう紛う事なき傑作であると感じました😃

やはり、ウェス・アンダーソン監督作品は一貫して映像が美しい❗️
極端な潔癖症であると公言している彼が作る世界観は、等間隔に配置された物体、画面を真ん中で割った時に左右対象(シンメトリー)になるような画作り、加えて可愛いフォントに独特な色使いが特徴的。

単なる綺麗好きで終わらない監督の莫大な知識もまた今作に深みを与えていた印象です。
『七人の侍』、日本映画界のアイコンである三船敏郎、浮世絵、礼拝に相撲の所作など…
作品を作る過程でアメリカ情勢や世界の動きを意識するようになったと話す監督。
現アメリカ大統領を彷彿とさせる小林市長、フランスの五月革命のきっかけとなった学生運動を取り入れ、女性の立場を力強く描いている。
日本を舞台に描いているものの、作品のテーマは万国共通。世界を意識した作品作りは観ているだけで喉が唸る。
そして何より今作がストップモーションアニメなのだから尚更凄みが伝わってくる…👏

十八番であるシンメトリー構図、斬新な色使い。しかし今作最も特徴的な要素だと感じたのは、独特な物語の提示方法だと思いました😊

日本語と英語が複雑に入り混じる奇妙な作品。
日本人として今作を鑑賞すると案外気に留めないかもしれませんが、今作は日本語に字幕が付かない非常にユニークな手法が施されています❗️
人間は日本語を話し犬は英語を話す。つまり、日本語のわからない観客は人間の言葉がわからない犬になった気分になる。この独特な演出方法が本作のテーマである犬と人間の種族感を超えた絆を見事に表現していたと感じます😊

膨大な量のショットに散りばめられた数々の情報は単なる日本作品への尊重やオマージュではなく、監督自身の知識、美的センス、そして日本への愛が無駄なく映し出されていた印象。
今作を通じて、改めて日本の文化や美しさを再確認することができました❗️

個人的には日本の歌謡曲なんかがウェス監督作品の雰囲気にマッチしそうな印象でしたので、最も多く起用してくれていたらテンション爆上がりでした😎

【努力と才能の結晶】

改めて監督の技量に感服し、早くも自作が待ち遠しくなる。

日本人が今作を観ないで誰が観る❗️
監督の愛が詰め込まれた、心温まる傑作アニメ作品です👏
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