黒川

ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラの黒川のレビュー・感想・評価

3.2
予備知識なし、コルビュジェもそんなに知らない、アイリーン?誰?という状態で鑑賞したので何だろこれというのが正直な感想。だからといって退屈という訳でもなく、妙な魅力があり見入ってしまった。

ル・コルビュジェの建築だと長年言われていたある邸宅は、アイリーン・グレイという女性の作品だった。
一脚の椅子が家具として史上最高額で落札されるシーンから映画は始まる。その椅子を作ったのがアイリーンなのだ。デザイナーの彼女が残した邸宅と、白い帽子に海パン一丁のワクワクさんにしか見えないコルビュジェが絶妙に絡まないのでこの邦題どうにかした方がいいよ。現原題"The Price of Desire"で「欲望の値段」。欲望に塗れた男女のようでありながら、しかし各々が純粋に対象に向き合い、故にそれを壊しそうになる儚い物語だった。多分。
冒頭で語られたように「ビジネス抜きで女を抱いてはいけない(うろ覚え)」のだろうし、女性もビジネス抜きで応じるべきではないのだろう。本作でそのビジネス的なシーンは写実的に描かれる中、理想的な愛が語られるときはどこか演劇めいた撮り方がなされていたように思う。死の床にいるジャンがささやくシーンがそのような中写実的なのは、愛がビジネスを上回ったということか。もっと彼女について、コルビュジェについて知っていれば楽しめたろうし、勉強してもう一度もたいと思わせてくる作品だった。

とにかくコルビュジェ絡まないし人の家にずっと絵描いてるし海パン一丁だし小学生みたいだし第四の壁突破してくるし何あいつ。邦題詐欺だよ。
あと英語とフランス語ごたまぜにしすぎて混乱した。
黒川

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