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わたしはパリジェンヌのemilyのレビュー・感想・評価

わたしはパリジェンヌ(2016年製作の映画)
3.2
1990年代のパリ、レバノンから大学に通うためパリにやってくるリナ。叔父や滞在許可証の問題も抱えながら、沢山の人に出会い、なんども傷つき、それでもパリで生きて行くため自分の直感を信じ行動していく。

移民のリナにとっては華やかなパリの生活の反面、生活資金、滞在許可証などのシビアな問題がのしかかる。しかし彼女は嘆いたりしない。無知な18歳の少女が自分を信じて、わずかな知恵を絞って行動する。そんな中で沢山の出会いがあり、数人との恋があり、騙され、麻薬や政治活動など悲壮感のある現実に包まれながらも描写は暗いトーンにはなっていない。常に状況を見据えなんとか切り抜けようとする強さが、目の奥から溢れており、不穏な表情の中にも時折見せる笑顔が印象的である。

逆境の中でもちゃんと青春があり、きらびやかな時間が重い現実と対照的に流れる。母国で得られなかった自由を求めて来たパリは、苦しい現実が待っていた。しかし同じように沢山の出会いがあり、幸せな時間もちゃんと存在しているのだ。それは頑張って勝ち取ったものだからこそ貴重で愛おしく、彼女に自由を与えるのだ。僅かでも自分で勝ち取った事に意味がある。
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