NEWおっさん

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのNEWおっさんのレビュー・感想・評価

3.5
「お化けになっちゃった」

交通事故で死んだ夫が、お化けになり残された妻を見守るが...ていうあらすじにすればシンプルな話だが、一筋縄ではいかない結構壮大な話になっててビビる。

幽霊の姿はよくある白いシーツを被った感じの姿で、しかもこの作品サイレント映画かってぐらいセリフが少なく、画面もアナログ画角、画の演出が大半なので、序盤はシュールなコントかとちょっと笑ってしまった。妻はお化けの夫には気付かないので、オイオイ近過ぎとか突っ込んだりした。

中盤あたりから妻が壁に埋め込んで残したメモを取るシーンになるが、ここからどうやら時間の概念が無くなり、色んな住人が家に来たり、果ては何故か開拓時代のアメリカに行ったり。この先のオチはネタバレになるので言えないが、ああなるほどそう来たかと唸った。

劇中至る所で様々な人物がメモを書いているぐらい、メモはこの映画に取って重要なファクターだが、内容を知ることができないまま話が終わることもある。これに取って監督はメモの内容を妻役のルーニー・マーラに任せていたってぐらいだし、中身が重要ではないことが伺える。メモが有ったことが重要てな感じなので、モヤモヤ感は残るかもだが、そこまで深く考える必要なし。

最初の幽霊の姿は笑えたが、後半は展開とも相まって不思議と切なく見えてくる。言葉で説明する場面はほぼ無いと言っていいぐらい、ノワール的な演出の映画なので分かり辛さもあるし退屈な場面も少なく無いが、この雰囲気はあまり体験したことなかったので、嫌いじゃない作品だった。興味があるならば一見の価値アリ。