sugasan

デッドロック4〜絶対王者ボイカ〜のsugasanのレビュー・感想・評価

2.7
俺たちのユーリ・ボイカが帰ってきた!

日本では全く公開される気配のない大傑作格闘アクション『UNDISPUTEDⅢ』(通称『デッドロック3』)、その続編である本作が3を飛び越してなぜかNetflixで配信開始!

『デッドロック2』で主演のマイケル・J・ホワイトの前に立ちはだかる最強の敵として初登場したボイカは、強烈なキャラ立ちと演じるスコット・アドキンスの驚異的な身体能力で大人気を博し、続く『〜3』では主役に昇格!さらに冴え渡るアドキンスのアクションと、アイザック・フロレンティーン監督の格闘映画を知り尽くした手堅い演出で期待を裏切らない大傑作となっていた。

さて肝心の本作だが、結論から言うと「なんだか物足りないなあ」という腹八分目な小品になっている。

フロレンティーン監督がプロデュースに回ったと聞いて嫌な予感はしていたが、とにかくスピーディーな格闘演出の勢いで畳み掛けるフロレンティーン監督の作風とは変わってドラマ重視な作風に変貌しているため、前二作のノリを期待するとやや肩透かしを食らう。

試合中の事故で殺してしまった対戦相手の妻への贖罪と、彼女が背負った借金を帳消しにするために闇格闘技のリングに上がるボイカ。
B級格闘映画では百万回見たような筋書きだ!

格闘アクション映画としては前作で頂点を極めた感があるため、ボイカのキャラを掘り下げドラマ寄りな作風にしたい、アドキンスも演技で勝負したい、というスタッフキャストの気持ちもわからないではない。

でもボイカってこんなキャラだったっけ?
野獣のようだった2から前作3で多少人間味のあるキャラクターに軌道修正されたものの、対戦相手を事故で殺したことがトラウマになって相手の顔面を殴ることに躊躇するボイカとか正直見たくなかった。

また、本作は未亡人アルマとボイカの心の交流がメインとなっているため、格闘シーンの対戦相手のキャラが弱い。
2のマイケル・J・ホワイト、3のマルコ・ザロールのようなビッグネームは出演しておらず、三流チャンピオンとデカいだけの化け物では正直物足りなさを感じる。

結局、刑務所の王者に返り咲く循環構造のようなラストも賛否が分かれるところだが、もし次回があるなら今度こそケガのハンデなくボイカが大暴れする映画が観たい。
もちろん監督はフロレンティーンでよろしくお願いします。
sugasan

sugasan