おけい

羅生門のおけいのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.8
死ぬまでに観たい映画1001本 225番

再鑑賞。何度目の鑑賞だろうか?何度観ても面白く演出のセンスに鳥肌が立つ。今回もマジで身体がブルブルってなった。

芥川の短編小説『藪の中』を映画化。芥川は中学生の時に全て読破した程、好きな作家である。

そして黒澤明の名と日本映画を世界に知らしめた作品であり、同じ場面を多視点から描く斬新な手法は後の世界中の作品に多大な影響を与えた。学術用語として確立しており羅生門効果と言うらしい。

武士の殺害事件に関する供述が皆、食い違っていて誰が真実を言っているのか結局は分からずじまい。人間なんて結局はそんなもの。自分の都合の良いようにいくらでも真実を曲げてしまう生き物なのだ。そんな人間のエゴイズムを鋭くついた内容となっている。

それにしても…モノクロなのに木々の木漏れ日のキラキラした映像美や、肌にこぼれ落ちる汗が生々しく映し出される奇跡のような撮影技術に今でも圧倒される。

加えて俳優陣の表情たるや、素晴らしく京マチ子の艶やかさ、三船敏郎の野生味、森雅之の目の演技には痺れる。供述する人により殺人現場のストーリーが変わるので、人柄や表情がガラリと変わる当事者三人の演技が最大の見ものだろう。
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