チャップリンの『キッド』をモチーフに作られたという愛に溢れたドラマ。じわ〜と心に沁み入る映画でした。
敏腕の証券アナリストだったウェイ(レスリーチャン)は仕事で失脚した夜、自分の船内に置かれてた捨て子の赤ちゃんを拾います。
母親は裕福な人に育てられれば…という思いで船内に置き去りにしたのでしょうが、くしくもウェイはその夜、全てを失ったのでした。
仕事、金、恋人、全てを失った代わりにウェイの元に舞い降りたミン。ウェイは貧乏ながらも愛情を注いで大切に育てます。
以下ネタバレ注意⚠️
アイドル出身で綺麗なイメージの強いレスリーチャンですが、本作ではボサボサの髪に無精髭で社会の底辺を生きる人物を力強く演じています。
子供に見せる屈託のない笑顔も反則だが、スーツ姿も反則だし、虚ろな目も反則なのだ。
凄く印象深いシーンがある。
昔の友人に誘われて再就職したウェイが社員達がフロアでせわしなく働いてる風景(多分為替取引の会社なのだろう)を自分の個室オフィスのガラス越しに虚ろな目で眺めている。個室を用意されてるという点、友人に誘われた時の会話である程度のポストで迎入れられていると推測されるのだが、ウェイは初日であっさり退職してしまう。
あの虚ろな目は忘れられない。
ちょうどこの映画の製作時期の香港はアジア金融危機の不況の煽りで映画製作も困難な状況だったもよう。プロデューサーも兼ねていたレスリーチャンは無償で出演したというエピソードからも、この映画にかける思いが伺えます。
そう無償の映画愛。
そしてこの映画で描かれる見返りなどない子供への無償の愛。製作時のエピソードとも重なり、ぐっときました。
最後の究極の選択…泣きました。