これはメアリースーだ、そう説明しやすい映画。
某SF二次創作において登場したキャラクターを転じて、『二次創作で追加されたキャラクターなのにオリジナルキャラより目立っちゃう現象』。
それがすごく説明しやすい作品。
オリジナルキャラクターも決して無駄ではない。
作劇上の様々なテーマ……未来への願い、エネルギー問題、未来の選択、くだらない世の中への葛藤、家族愛、様々なテーマにおいて関わっている。
だがしかし、そこで気付く。“テーマ多すぎね?”と。
恐らく、企画段階で様々な注文が入ったのだろう。
『真マジンガー漫画版みたいにアンドロイドキャラ出そう』
『平行宇宙ネタをやると次回作も作りやすいぜ!』
『グレンダイザ―やグレートブースターを次回に残しておいて』
『大人も観るからそれっぽいテーマをどんどん出そう』
『女の子が魔法少女っぽいことすると流行るんじゃね?』
制作の都合とコンプライアンス、ああ、哀れ。
結果として世界説明などをする時間が有るわけもなく、『フシギ宇宙からフシギ現象が起きました』以上の説明はない。
だがしかし、駄作と断定するのは早すぎる。
冒頭から機械獣軍団相手に必殺パワーを束ねて叩き込むグレートマジンガー。
仲間たちを守りつつ孤軍奮闘する姿は正に勇者。
オリジナルロボットもデザインはやや凡庸だが、世界設定を端的に現しているし、ボスボロットはその前後のラーメン屋やナンバープレートなど小ネタが溢れている。
そして退屈な日常シーンから、鬱積した感情を解き放つように暴れ回るマジンガーZ!
これはもう、平和な世界に退屈しかけていた甲児の心情とシンクロして躍動する。
立ちはだかるガラダブラコンビ、お約束とばかりに連携の穴を露呈するブロッケン・あしゅら組。
史上最強のグルグルパンチこと大車輪ロケットパンチなど、このシーンだけで劇場に行く価値は充分。
マジンガーZを見る映画である。それ以上ではない。