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トトとふたりの姉のらのレビュー・感想・評価

トトとふたりの姉(2014年製作の映画)
4.2
ある意味『コレクティブ 国家の嘘』よりも衝撃的な内容。アレクサンダー・ナナウのドキュメンタリー・マナーに則ってカメラは空気のようにその場に溶け込み、淡々と目の前の出来事を映し出している。ただそれだけなのに、残酷な現実と僅かに差す希望の光を「映画的に」捉えてしまう。劇映画の方が優れていると言いたい訳ではないけれど、まるでダルデンヌの劇映画みたいだった。アンドレアが撮影した映像が効果的に挿入されるところなど、劇映画の演出以上にマジカルで同時に奥深い(フィクションではない"現実"というバックボーンがあるだけに)。

現実を淡々と映し出すだけというのは、ほとんど暴力的な行為であると言ってもいいと思う。ただ、どうあっても人の心を動かしてしまう力がこの映画にはある。作品として優れて「しまっている」のだ。
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