継

劇場版 嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~/リチャード二世の継のレビュー・感想・評価

4.0
もうなんか、イメージピッタリだなって思います。
見て下さい、この写真↗️の、なで肩で頼りなげでナヨっとした王様(T∀T)

BBCがシェイクスピア原作の史劇をTV放送用に編纂したシリーズの一作目。
大英帝国の王冠の継承を縦軸に、各王の生涯をドラマチックに描いていく “大河ドラマ” です。
いずれもシェイクスピア劇の経験を持つ主演者による熱演が見所で、本作はベン・ウィショーが主役たるリチャード二世を演じます。

リチャード二世は元々、次の王として期待を一身に集めていた父親・黒皇太子(黒い鎧を纏い武勇に優れていた事からこう呼ばれる)が皇太子のうちに病死してしまって、その代わりに幼少期に即位させられた経緯があって、その点は情状酌量してあげたい気もするんです。

でも本作はその辺の事情を台詞でフォローするだけでスルーして、オープニングから “愚かな王” 呼ばわりのリチャード二世はこの後、順調に転落の一途を辿ります(T∀T)。
シェイクスピアの原作もここから始まるので仕方ないんですけど、「嘆きの王冠」とはよく言ったものだなーって思います。

そして、この堕ちてゆく王を演じるベン・ウィショーが素晴らしいんです。『007』の “Q” のスマートさとは無縁の情けなさ全開で、ただひとつ王冠のみが己のアイデンティティーだった男の悲哀を “これでもか!”ってくらい未練たっぷりに演じきってみせます。

この人主演の舞台『ハムレット(トレバー・ナン演出)』を観たことがあって、その時たぶん二十歳そこそこだったんじゃないかな、、もうガリガリでダイジョブか?って外見なのにグイグイ芝居引っ張ってってスゴいなコイツ!って驚いた事があって。イギリスって良い役者が出てきますね。

王冠を深い井戸に例える台詞を始め、“くうぅ...”って胸に響く台詞が幾つかあります。
ほぼ出ずっぱりなベン・ウィショー、↑上述の内容ですからスカッとする物語じゃあないです。が、他じゃ観られない彼の演技の幅みたいなものが垣間見れて、一見の価値はあるかと(^-^)。
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