momoka

最高に素晴らしいことのmomokaのレビュー・感想・評価

最高に素晴らしいこと(2020年製作の映画)
4.6
脆い。
人は本当に脆いものだ。

「大丈夫」という言葉ほど、信用できないものはないと改めて考えさせられた。
自分もフィンチのように危うい瞬間を経験してきた。幸い自殺未遂に至ったことはないが、頭の中ではこれまで何度も死ぬ方法やその瞬間を考えてきた。内側から自分の何かが壊れていく。

フィンチが考えていた全てのことは分からないが、突然自分の意志とは関係なく人を殴り傷つけてしまったり、怒りが爆発してしまったり、その時が訪れる度に自分を傷つけた父親の血が自身の中に流れていることを痛いほど刻みつけられてきたのだと思う。自分も血縁を未だに恨んでいる部分があり、存在が揺らぎそうになる時があるため、勝手に共感せざるを得なかった。

バイオレットにとってフィンチは確かに救いの存在で広い世界を教えてくれた大切な大切な人だった。フィンチにとっても彼女との時間は本当にかけがえのないものだった。でも、彼は自死を選択してしまった。その事実を痛いほど突きつけられて、本当に悲しくて号泣した。

「色んな色が混じり合って明るいんだ」
印象的な言葉だった。素敵な言葉を紡ぎ出せる人、優しい人だよ。フィンチは。

バイオレットはこの先も彼の記憶を抱えて生きていく、でもそれは悲しいことばかりではなくて、希望や温かな安らぎを与えてくれるものだとラストシーンを観て感じた。

エル・ファニング、やっぱり大好きな俳優さんです。最高の演技をありがとう🌱
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