すでにあのドラマがあるのになぜ映画を作ろうと思ったのだろう。
かなり勇気ある挑戦だと思う。
ドラマを見てから本作を見たので、そう思ってしまった。
どうしてもドラマのダイジェストのように見えてしまうし、違和感のあるシーンもある。
ちなみに原作は読んでいないので、原作の再現性についてはわからない。
ドラマでは細やかに時間をかけたところが、映画では説明的ナレーションやセリフに変わっている。
時間をかけて行動の表現で積み上げられた人物像やそれらの関係性(特に神谷と徳永の)が、映画版では充分に表現されているとは言い難い。
むしろドラマの方が映画的な表現に富んでいたような気もする。
ドラマで街を歩いたり走ったりするシーンがすごく良かったのだが、映画ではほぼない。例えば、スパークスの解散を決めた後、線路沿いを徳永と山下と百合絵が歩きながら「ペット」のネタをやるシーンもない。すごく良いシーンなのだが。
雪が降ったり悲しげな音楽が流れるだけでは涙は出ない。
スパークスのラストライブも、それらの時間の積み重ねがあってこそ、深く胸に響くと思う。
ドラマを見ずに映画を見たのであれば、また違った感想になったかもしれない。しかしそれがどんなだったか、もうドラマを見てしまったのでわからないのが残念だ。
エンディングテーマもドラマの方がいい。芸人の悲哀=浅草キッド、は短絡的過ぎるように思える。
映画しか見ていない人にはドラマも見てほしい。その順番ならどう感じるのか聞いてみたい。