つかれぐま

きみの鳥はうたえるのつかれぐまのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
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『夜明けのすべて』で三宅唱監督に全幅の信頼を寄せたので、未見だった本作を遅まきながら。美しい夜の街で遊んで遊んで(たまにバイト)という、若い男女3人のモラトリアム。

原作の概要を調べてみて驚いたのが、1982年というかなり昔に著された小説ということ。そして静雄のラストが大きく改変されていること。そこへの回答にはならないが、これはいわば「青春を描いた3部作」の始まりなんだろうなと感じた。本作➡ケイコ➡夜明けのすべて、という連なりだ。

登場人物の眼の変化で言うと、
死んだ眼➡闘う眼➡穏やかな眼、かな。
モラトリアムの限りを尽くし、面倒くさいことを避けて来た若者が、主張し闘うことで自己を確認し(ケイコ)、最後には自分の居場所を見つける(夜明け)。

本作単体で観ても面白いが(何も起こらないのに終始漂う緊張感)、近作2本を観終えた今観ると、ああここが出発点だったんだなと感慨深い。

この3人のような関係は、近年「ポリアモリー」と呼ばれているとのこと。