まちだ

きみの鳥はうたえるのまちだのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
4.5
深夜、帰るか帰らないかの恋人たちのやりとり、コンビニからの帰り道で雨に濡れたこと、安アパートでの他愛もない会話、カラオケで歌った懐メロ、
なんでもない時間が、心の片隅にこびりついて離れずにいる。

それらを意味がないと切り捨てる人もいるだろうけど、私にはそういう時間にこそ
人生の美しさが詰まっているような気がしてならない。
この映画を観た人も、少なからず自分がかつて経験した「時間」と重ね合わせるのだろうな。

シンプルな構成、台詞のなかに、
とても繊細で、大切な感情が織り込まれている。

役者が素晴らしいのは言うまでもないけど、
人物の構図や動かし方で関係性や心情を細やかに表現してるとことか、撮り方の巧さががあってこその役者陣の輝きだと思った。

こんなに丸ごと抱きしめたくなるような映画は久々でした。



冒頭、120秒を待っていただけの"僕"と、ラストの対比。佐藤泰志の原作をこんなみずみずしい青春映画に深化させるなんて。

(そしてラストの石橋静河、
素晴らしい…!)
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