まちだ

リチャード・ジュエルのまちだのネタバレレビュー・内容・結末

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

英雄を描き続けてきたイーストウッドがたどり着いた、仕事の大きさに関係なくその仕事に誇りを持ち、職務を誠実に遂行する市井の人びとこそが英雄なのだ、という眼差しに涙。
彼は今回(「サリー」もそうだけれど)「リチャード・ジュエル」という個人名をタイトルにした。
あらゆる凶悪犯の「記号」を当てはめられその固有性を奪われそうになるリチャード。
彼はあの取り調べの場面で署名を拒否し名前を奪われることに抗う。

マイケル・ジョンソンの200mとワトソンが無実を証明するため公衆電話まで歩く姿のクロスカッティングに胸があつくなる。
華やかなスポットライトが当たり惜しみない賞賛を受けるマイケル・ジョンソンと、その陰で誰にも知られず信頼する人を守るため暗がりを歩くワトソンの対比。

キャシーの描かれ方には事実と異なる描写があるという指摘もあるようで、そうであればそこがこの作品の欠点になるかも知れませんが、
彼女の公衆電話までの道を歩くシーンも象徴的に感じた。

手渡されたスニッカーズから始まる信頼。偏見に惑わされず目の前の人に関心を送り、敬意を持って接すること。その尊さ。
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