このレビューはネタバレを含みます
Mother!は忠実に神話を描いている。
ダーレンアロノフスキーはユダヤ教徒らしい。
ユダヤ教徒が神話を描いてるにも関わらず、何故かこの映画にはアンチ神さまの燻煙が立ち込めてる。
個人的には、それがこの映画の攻めたとこでもあり、本国での賛否両論の理由でもあるかなとか思ったりする。
妻は文字通り生きてるホームであり、つまりガイア理論の地球だ。
妻に感情移入してるおれらは、否応にも人間からこっぴどくいじめられる。
だから人間側からじゃなくて、地球側から「環境問題」を考えられる。どうしても考えてしまう。
平和な世界に突如訪問してくるアダム、そしてイブ。
堕落。肥大していく欲望。
地球で殺しあって、愛し合って、増えまくって、血で汚して破壊する。
奪い合って、塗り潰して。
戦争して。
この過程は、妻(=地球)が責めているように神さま(夫=聖書をかいている詩人)のせいで起こっている。もともと人類を招いたのは神さまだし、人類から持てはやされることを良しとして、平穏な生活を壊したのだ。
そういえば、マスコミが集まってるのを見て思ったけどたしかに聖書ってベストセラーだよね笑。
こんなに人気があって広く読まれてる。
神さまは、なんで人類に妙に優しくて、地球をボロボロにしてしまったんだろう?
人間が創り上げたからではないか!
だからダーレンアロノフスキーは言っている。
お前らが創り上げた都合のいい神って、こうゆう奴だぞ!
地球の資源をシェアするべき?そんなの地球は認めてない!それ言ってたの"神さま"だろ?
赦すっていうのは、与えるっていうのは、優しいだけじゃなくて、同時に残酷なことだぞ!
残酷っていうのは、こうゆうことだぞ!くるしめくるしめ。
この監督、ほんとにユダヤ教徒なのでしょうか?笑
神の子キリストを殺された妻は怒り狂って地球を燃やしてしまいます。
黒焦げになった地球。神さまが最後に地球に要求したのは…愛!
おそろしい!思い出しても鳥肌がたつ。
搾り取るだけ搾り取って、最後に欲しいのは君(地球)の愛だって?
いつも綺麗事ばかり!
その愛を今まで散々食い荒らしたじゃないか!
おそろしい!
…そして神さまは新しいホームを創り出す。
このラストシーンを見たとき、地球を捨てて火星などの他惑星に新たなホームを求めている現在の人類の思惑と重なってしまい、めちゃくちゃ怖かった。
新しいホームへの希望に笑う詩人の邪悪な顔よ。
でも人間が神さまとして具現化したのは、もっと根源的な生への欲求、進化への渇望そのものみたいにも思えてくる。
こいつ、地球の前は他の惑星(女)食ってたよね絶対。
果てしなく貪欲で、地球が壊れても、人類が滅亡しても、尚拡大し続けるのだろう…
そして今までのを全部ひっくり返すようだけど、おれがこの映画を観て思ったこと。
大丈夫、地球に同情する必要なんてないよ!
人間より強いから。
地球なんて母性こそあったとしても、ジェニファーローレンスみたいに華奢で可愛い感じじゃなくてさ、めそめそ泣いてなんかいないと思うよ。
なんなら吉田沙保里の強化版みたいな、もうムキムキで無慈悲なくらい強力で、気に食わなくなった瞬間に人類なんて一捻りで潰してくるんだよね笑。