黒川

ゆれる人魚の黒川のネタバレレビュー・内容・結末

ゆれる人魚(2015年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

割と期待してたら思って以上だった。不気味さとファンタジーとグロさが好きです。
雰囲気映画的でありつつ、人魚姫というモチーフで現代社会だったり男女関係だったりタブーだったりを描いている、多分。

アンデルセン童話を下敷きに、大アマゾンの半魚人とか両棲人間を彷彿していると突如ミュージカル調になるシュールさが癖になる。人魚姫という童話が人魚伝説という妖怪話と混ざり合い、怪物映画という側面を持ち合わせるホラーファンタジーSFになった印象。

ゴールデンとシルバーの人魚姉妹は、河原で歌っていた歌手一家に拾われストリップ劇場でパフォーマーとして歌うことになる。少女たちは楽しんではいたものの、裏では騙され搾取されていた。
姉妹は対照的で、人間に心を開かない妹と、一家の息子に恋をする姉。妹は夜な夜な人間を惑わせその肉を食らうが姉は一途に男を思うのだった。
序盤から中盤の不穏さとホラーっぽい雰囲気が終盤で一転、アンデルセン童話へと謎のシフトチェンジが行われる(嫌いじゃない)。人魚伝説はヨーロッパ各地にある。全てに共通するのは、水辺に住み美しい声を持ち、人間を惑わすという点だ。彼女たちは人間を惑わせていたが、人間も抜け目なく彼女たちを騙していた。所詮は人間ならざるものなのだ。姉妹の喧嘩は丸猫のような唸り声をあげ、歯は尖り、血肉に飢える。アンデルセンの人魚姫が泡になるのは、人魚が人の心を持たず、神が救済しないからだという。救済されず泡と消え、人ならざるものとして妹の仇を打つ姉。グロさとやるせなさと東欧の空気が個人的には大好物。
黒川

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